REPORT of SHIBUYA SLOW STREAM vol.14
今回のテーマは「からだ、くつろぎうららかうれしい」
渋谷川のほとりで、ノンビリ、ウキウキ、ドキドキ。くつろいだり、思わずからだが動いちゃったり、からだをいたわったり。「うららか」って、まさにそういう様子を表す言葉。偶然がもたらす幸運のことをセレンティビティなんていったりもするけども、人も街も「うららか」であればこそ、あるべき未来が訪れるような気もします。
目次
開催概要
ふりかえりトーク
Workshop/Installation/Performance
「ニコニコ体操教室」
からだが、くつろいだり、のびのびしたりするためのワークショップ。一緒に、体操をしてみたり、綱引きをしてみたり、寝っ転がってみたり。関連するZINEやグッズを販売するコンセプトポップアップも同時開催。
Aokid
"ダンス、アート、音楽、言葉、状況"など様々な方法によって分野を越え都市からの活動を展開する。
Instagram|@iamaokid
photo|ShinichiroIshihara
さとうかい
2000年生まれ。クリエイティブスクール「GAKU」で働きながら、街を舞台にZINEや催し物を企画制作する。
「惑星ハイタッチ練習」
天使の大きな大きなぬいぐるみを、天使らしく動かしたり、一緒にくつろいだり、写真を撮ったり。いろんな気持ちと動きが生まれるはず。会期中は、パフォーマーを招いた「天使の練り歩き」と、関連するZINEやぬいぐるみを販売するコンセプトポップアップも同時開催。
boy,boy,boy,?
ぼぼぼってよみます。ぎゅっとできるものをつくります。
Instagram|@bobobo_dayo
With
みたにしょうまっ〜☆
Instagram|@shoma_mitani
somedarappa
Instagram|@somedarappa
よこやまりさこ
Instagram|@yokoyamountain_
パフォーマー Kotoko Hirata
Instagram|@ooo_pnpn22
「スポーツチャンバラ公開練習&体験会」
遊戯とスポーツと護身道が、ミックスして生まれたスポーツチャンバラ。渋谷にキャンパスを構える國學院大學のスポーツチャンバラ部の方々が公開練習。その迫力を目撃したら、子どもゴコロが騒ぐかも。体験会も同時開催。
國學院大學体育連合会 スポーツチャンバラ部
昔ながらの遊びをスポーツへ 。2009年、前身となる武心会が発足し今年で15周年を迎えます。関東、全国大会では団体戦優勝など受賞歴多数。
Instagram|@sportschambara.kgu
「Placemaking Kit」
空を見上げたり、話し込んだり、くつろいだり。一人でも、二人でも、みんなでも。屋外空間を自由に楽しむストリートファニチャーを思う存分楽しめます。
勝亦丸山建築計画
「その場所や前提の条件を探り(RESEACH)、そこに何が必要かを考え(DESIGN)、実践を通して学びを得る(OPERATION)」までを行う建築家チーム。
「わなげと紙の遊具」
輪投げや、紙のじゃばらで遊びを生み出す「PORTABLE PARK(ポータブル・パーク)」。また、ストレッチ・ボーンブレイク・タット・フィンガータットと呼ばれる奇妙で面白い動きをするダンスのワークショップ「Weird Dance 1Point Workshop」を実施。上半身だけで踊れ、どなたでもダンスが出来ちゃう魔法のようなMOVEを体感できます。
わなげボーボー
現代画師である"平山達也"や"ABEBE"が描き上げたオリジナルアートわなげ屋さん。昭和玩具や、縁日玩具、ちょっとしたレアものまで登場する新世代アナログゲーム店。
Instagram|@wanage_bowbow
with
PORTABLE PARK
Instagram|@portable_park
PANEY-L
Instagram|@papapanipani
「都市はわたしたちのダンスフロア」
韓国とベトナムでの夜遊びを通した都市介入のアイデアを残したZine「都市はわたしたちのダンスフロア」。現地のクラブやレコード店などを訪れて筆者が感じたことや、コミュニティラジオとのインタビューなどを帰国から数日の熱量そのままに記録。そのアイデアを体現すべく、稲荷橋広場をダンスフロアに見立てたDJイベントと、Zineを販売するコンセプトポップアップを同時開催。今回DJとして出演する3名は、(ほぼ)はじめましてのメンバーで、普段拠点にしている都市も異なります。それぞれの都市の「らしさ」をプレイのなかに持ち寄りながら、SHIBUYA STREAMに一堂に会しました。
アクネサトコ
アーバニスト、プランナー、一般社団法人for Citiesの広報担当。「夜遊び」を通した都市介入のアイデアをかたちに残すため、Zine「都市はわたしたちのダンスフロア」を出版。国内外のミュージックバーなどを中心に販売しています。
DJ’s
・Paola Laf
DJ、サウンドエンジニア、ライター。イタリア生まれで現在は韓国のソウルに拠点を置く。 2022年までロンドンを本拠地とするミュージックチャンネル『NTS Radio』で、現在はイタリア『Radio Raheem』とパレスチナ『Radio Alhara』でホストDJを務める。
Instagram|@Paola Laf
Photo|Rosie Wills
・馬場宏樹
「Qings」名義でバレエ、ファッションショー、美術展での音楽演出・作曲に従事。昨今は大阪万博着工記念イベントでドローンショーの音楽演出総監督に着任。ネオクラシカル、エレクトロニカを軸に創作活動を行い、ソロプロジェクトでの楽曲リリースを今夏に控える。
Instagram|@babastagram
・Fumiya Kawase
バークリー音楽大学で電子音楽を学んでいます。
Takeaways/Outside table
DRiNKUP!!
東京・高円寺のクラフトビールショップ「DRiNKUP!!」。世界のクラフトビールインポーター「ドリンクアッパーズ」直営で、自社輸入ブランドを中心に、希少で高品質なクラフトビールが並びました。
Drinkuppers Inc.
海外現地でも容易に手に入らないような、希少でハイクオリティなクラフトビールを取り扱うインポーターです。 直接ブルワリーへ赴き、信頼関係を築くことから始めることで、唯一無 二の良質なラインナップを実現しています。
Instagram|@drinkuppers
ICE CREAM FEVER「映画みてアイス食べヨ」
渋谷に事務所を構えるれもんらいふ・千原徹也氏初監督の映画『アイスクリームフィーバー』。この映画のロケ地でもある〈渋谷ストリーム〉で、劇中に登場するアイスクリームをリアルに味わえる貴重な機会!
映画『アイスクリームフィーバー』
芥川賞作家・川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」を原案にした、世代の異なる4人の女性の思いが交錯する姿をつづったラブストーリー。吉岡里帆の主演により、7/14に公開されます。
Instagram|@icecreamfever_m
Mountain top herbs
美術家・プランツマンのカブにより、BankART1929「食と現代美術 vol.8」で展開されたプロジェクト「メディシンマンの弟子」は、ジャマイカのハーブの効果効能をリサーチした成果が美術作品に。そこから派生して生まれたハーブショップのポップアップ販売及び試飲体験です。
Mountain top herbs
深沢アート研究所 緑化研究室 カブ
さまざまな国 ・地域 ・ 団体と関わり現代アートを基軸として緑化活動や作品展示活動をする。2018年より ジャマイカ派遣(JICA)にてNGO JAID、Edna Manley college of art、Institute of Jamaicaで活動。ジャマイカとのフェア トレードプロジェクトMOUNTAIN TOP HERBS 主宰。
Instagram|@mountain_top_herbs
Mrs.Charlotte
ラベンダー色のクレープやアイスクリームにエディブルフラワーを添えた華やかなスイーツと非日常の世界観で、素敵なひとときを。
Mrs.Charlotte
“日常に優雅で贅沢なひとときを”普段の生活を少し飛び出して、まるでヨーロッパの街角に来たように非日常を感じてほしい。2人のクリエイターによる週末のキッチンカーのみのアイスクリーム&クレープショップです!
Instagram|@mrs_charlotte_foodtruck
ふりかえりトーク
イベントを実施して、おしまい。それは、「ビルを作っておしまい」の街づくりとどこか似てきます。SSSは、そうであってはなりません。企画や準備に心を費やして迎えつつ、その成果をどうやって積み重ねていけるか!?というところが大事なはず。というわけで、心に留めておいたり、次に活かしていくための、手応えや感触って何だったの!?それを一同でふりかえっていく時間も大切にしています。ここでは、その一部をご紹介します。(開催前の対談「想いを交わすうしろ側トーク」はこちらからご覧ください!)
「ついつい、思わず」の大切さ
-SSS vol.14、ありがとうございました!渋谷川のほとりで「からだ、くつろぎうららかうれしい」をテーマに掲げての開催となりました。「うららか」ってあまり日常的には使わない言葉かもしれませんが、「のどか」だったり「朗らかで伸びやか」といった意味がありまして、まさにSSSが目指している姿でもありますし、このエリアにそういう風景がもっと生まれていくといいなあと願っています。やっぱり、からだがリラックスしている状態のほうが、新しいひらめきも訪れやすい。人も街も「うららか」だと素敵だな、と。
Aokid:今回、「ニコニコ体操教室」というかたちでワークショップをやりましたが、そのなかで綱引きのロープも使ったんですけど、ついつい思わず、綱を引きたくなっちゃうんですよね。ラジオ体操も日本では身近なので、なんとなく身近なところを入り口にしながら、その過程や最終的な段階で"アート"のようなパフォーマンスにも気付いたら身体や感覚でやってしまっているようなことが起きていたように思います。
さとうかい:ついつい思わずやってみたら、結構、すごいところにたどり着いちゃう。なんか頭で考えるよりも、おもしろそう!さわってみたい!やってみたい!って、からだが自然と反応しますよね。そこから新しい世界が拓けていくこともあるという。
-今回のSSSでは、そのあたりを特に意識をしていたんですが、「ニコニコ体操教室」のとなりで開催されていた「スポーツチャンバラ公開練習」も、まさにというところでした。遠巻きに見物しているだけでも楽しいという。
國學院大學体育連合会 スポーツチャンバラ部 :特に子どもたちが、「やってみたい!」となっていましたね。猛暑日ではあったので、心配もしていたんですが、「やってみたい!」が勝っていくという。保護者の方々もあたたかく見守ってくださっていました。
-すごい熱中して、かなり長い時間体験されているお子さんもいましたよね。男女問わず体験されていたのも印象的でした。部員の皆さんが公開練習している様子も、その所作含めてダンスのようでもあり美しかったです。子どもたちも大学生と触れ合う機会もなかなかないと思うので、その意味でも貴重な機会だったなと感じました。
國學院大學体育連合会 スポーツチャンバラ部 :街なかで活動することはとても新鮮でしたし、またやってみたいです。
-ぜひぜひです。前回から引き続き登場している「Placemaking Kit」も、もはやSSSのインフラ的な位置づけになってきましたが、ついつい思わず、からだをあずけたくなる感じが今回も光っていました。
勝亦:場に、馴染んできましたよね〜。
-確かに。「馴染む」って感覚、言われてみると不思議です。
偶然の出会いが、必然に思えてくる
-そういえば、「わなげと紙の遊具」のコーナーの景品として、パーフェクト賞の「大だるま」があったじゃないですか。
わなげボーボー:そうです。そうです。あれも、えっちらおっちら運んできたんです。
-搬入からして、スゴイ風景ですよね。景品の量と種類もスゴイし。開場してすぐ、おばさまが、ずっとSSSの様子を熱心にご覧になられていて、ありがたいなあと思っていたら、「わたし、群馬の高崎の出身なのよ!達磨寺の近くなのよ!」って声をかけられまして。まさに、「ついつい、思わず」というところなのですが、思わぬところから、思わぬ人と会話が広がっていくということに、やっぱり街なかで行うことの醍醐味を感じます。
わなげボーボー:「綱引き」も「体操」もそうですが、「わなげ」も親しみやすさもありますし、かといって、平々凡々としているかというと、そうではないので、やっぱり気になりますよね。それが、偶然の出会いの確率を上げている感じがあります。
-ホントそうですね。それでいうと、紙の遊具「PORTABLE PARK」とアームスタイルダンサーのパニエルさんが、SSSの初日に出会ってコラボしてましたよね。
わなげボーボー:パニエルくん、ひらめいたみたいで、ダンスパフォーマンスに取り入れていましたね。今度、また別の機会でもコラボするかもしれないって言ってましたよ。
-ホント、たまたまなんだけど、ふりかえってみるとその出会いも必然的に思えてきます。
わなげボーボー:偶然を必然に変えていくのは、人の創造性ですからね。
-ああ、それが発揮される街であって欲しいです。
「わからなさ」の魅力
-毎回言われるのですが、特に今回も「わけわからないけど楽しいねえ」という声を来場者の方からたくさんいただきました。意味がすぐわかるという楽しさもあれば、「わからなさ」の楽しさもあると思いますし、それこそが都市のあるべき魅力の一つとも考えているので、実はちょっとうれしいんですよね。
boy,boy,boy,?:大きな天使が練り歩いて、道行く人とハイタッチしてますからね。普段見ることがない景色ですよね。
-わからないといえば、たしかにわからないんだけども、天使とハイタッチしたり、頭を撫でてもらうと不思議と子どもも大人も、顔がゆるんでほころびますよね。
boy,boy,boy,?:頭の理解では追いつかないけど、シンプルといえばシンプルなことですもんね。
「普段からやってることを持ち寄って生まれる特別」っていいよね
-特別な体験を生み出そうとして、「よ〜し、特別なことをやるぞ!」といきなり意気込むことには無理というか、不自然さを感じるんですね。boy,boy,boy,?さんでいえば、天使のおおきな人形をつくって展示をしたり、それをコミュニケーションにいかしたり。そういう普段からやられていることを、その延長線上で展開することが大切なんじゃないかなと思うんです。例えば、Mountain top herbsも、カブさんが長いことジャマイカで暮らしながらリサーチした延長線上にあるハーブショップだし、アクネサトコさんも普段から夜遊びしまくっているからこその「都市はわたしたちのダンスフロア」で、DRiNKUP!!さんもビールや音楽愛に溢れている。そういう、普段の積み重ねの延長線上で湧いたり、溢れているものがとても大切なんだと思います。
アクネサトコ:それが文化っていうことですよね。
-「都市はわたしたちのダンスフロア」では、ロンドンのミュージックチャンネル『NTS Radio』のホストDJもやられていたPaolaさんが韓国からわざわざ来てくれたりもしたじゃないですか。それって、アクネさんがちゃんと普段から遊んでいるから起こるミラクルみたいな感じもあり。ありがたいです。
アクネサトコ:みんな、最高でしたよね。
Mountain top herbs:ほんと、良い出会いがたくさんありました。良い雰囲気でしたよね。空気感って、実はそう簡単につくれることじゃないからね。みんな、いい顔してたなー。
消費とか生産とかの手前にある、「宿す」ということ
-SSSって、裏側に「良い都市ってなんだろう?」という問いを抱えているんですね。そのような議論のなかでは、「消費ばかりを煽るものではいけない」ということは良く言われているように思うんですが、だからこそ、その対局にある「生産をする場所へ」という旗振りが正しいような気もしてきます。でも、それにどこか不思議と違和感があったんです。最近は、その手前にある「宿す」という営みこそに着目すべきなんじゃないかなあと考えるに至っています。人やものとの出会いのなかで、あれこれやってみよう、あれが好きだなとか、そういう気持ちが「宿る」ということなんですが、今回のSSSではそれを特に感じました。良い都市って何かが宿される場なのでは、という。
アクネサトコ:恋みたい。セクシーな街っていいですよね。
-都市の官能性ってやつかもしれませんね。
『アイスクリームフィーバー』:今回の映画の舞台は渋谷。SSSの会場である<渋谷ストリーム>もロケ地のひとつです。まさに、人の、都市の物語や「気分」が感じられると思います。
-映画を観てから街を歩くと、またいつもと違って見えてくるかもしれませんし、逆に、街でたくさん遊んでから映画を観ると、感じ方も変わってきそうですよね。
『アイスクリームフィーバー』:はい。映画館に閉じない「映画体験」ってあると思うんですよね。
-素敵です。いろんなボーダーを越えていきたい気持ちがあります。今回、ご近所の「未来をつくる実験区」である100BANCHのイベント「ナナナナ祭」と同日開催でのコラボレーションが叶ったので、100BANCHの方から「獅子舞」が来てくれるというシチュエーションも生まれました。そして、双方のお客さんが行き交う姿も生まれました。そんな「うららか」気分で、みなさん引き続きどうぞよろしくお願い致します!
次回のお知らせ
次回のSSSのテーマは、「美味しい正直、大集合」。秋の初めの渋谷川沿いに、こだわりの美味しい逸品が集まります。この場所で、これまでにない過ごし方を。そよぐ風を感じながらの夕涼みに、ぜひ足をお運びください。正直なところ、そうやってみんなで意識を向けることで、もっともっとこの水辺をより良くしていきたいとも考えています。開催日時は、2023年9月9日(土)10日(日)。詳細は、こちらのホームページやInstagramにてご案内します。皆さまのお越しを心よりお待ちしております!