REPORT of SHIBUYA SLOW STREAM vol.12

REPORT of SHIBUYA SLOW STREAM vol.12

 

今回のテーマは「立ちどまること」

都市でクリエーションに真っ直ぐ素直に向かうこと。それがなんだか難しい時代のような気もします。だから、流れにのっていくことも大切だけど、あえてひと呼吸置くこと。間を置くこと。見過ごしていた違和感や本当はこうありたいという本音に意識を向けること。そんな「ゆっくり」から未来を見据えようとすること。そんな時間と空間を持ち寄れたら幸せです。ファッション、デザイン、プロダクト。ジャンルは横断融合しつつも、あえて「立ちどまる」からこそ生まれるクリエーション。土地や歴史に根ざされつつも、軽やかで気持ちが上を向くものが集まります。
 

4Fエントランスロビー Good Stream Market

ファッションからプロダクトまで。これからを拓くための良い予感も課題意識も織り交ぜながら、Good Stream(良い兆し)を感じて手に入れるためのマーケット。
【テキスタイル】糸編商店/新江戸染 丸久商店 ⇄ TEWSEN  【ファッション】umuto-tekkjkCYAARVO 【アロマ】OMOU 【グッズ・クラフトビール・お菓子】KISS, TOKYO  【アナログゲーム】わなげボーボー・ULQ;NICE 【手工芸品・焼菓子】恵比寿アートコネクト(おかし屋/工房ぱれっとワークセンターひかわくるるえびす)【アート展示・フォトブース】シブヤフォント×SSS
 
一言コメント
「キュレーションカンパニー糸編が、知れば知るほど楽しい、テキスタイルやアイテムをこの日のために日本全国から集めました。」宮浦晋哉 (糸編商店)
 
 

4Fエントランスロビー Book&Relax

本を読むというのは、特別な時間を過ごすということ。くつろいだ気分の先には、なにか良いことが待っていそうな気もします。ファッションやアートなどの古書・古本が集まります。
【ブックショップ】ボヘミアンズ・ギルド
 
一言コメント
「古本は、一度見かけたら次にいつ同じ本に出会えるかわかりません。今日見かけた古本が、もう人生で二度と出会わない本だったりもします。そんなちょっとした奇跡の一冊に是非出会って欲しいです。」諸橋拓実(ボヘミアンズ・ギルド)
 
 

5Fホワイエ Factory Piece Market

工場は、想像力の舞台。技術の蓄積があるからこそ生み出せる色や形。新たな用途が再想像されるのを待っている廃材やサンプル品。ものづくりの現場に触れるためのマーケット。
【ワークショップ】KiNaKo金属パイプで作るヒンメリ〈Meteori〉六張煙管響楽舎【ショップ】Factory Piece Market/、テイク布リー燕三条ネオクラシックUTOPIA/INDUSTRIAL JAM/WAgon 【アート展示・ライブペイント】Shape of Nature -鈴木掌と作家-
 
一言コメント
金属加工の街、新潟県「燕三条」。大量生産品から職人の逸品、工具や廃材まで、街の金属加工にまつわる物を取り揃えました。」斉藤翔(三条ものづくり学校)
 

6Fホール Stage&Runway

まだ見ぬクリエーションを発信。学生を対象にしたサステナブルなファッションデザインアワード「The 12 (ザ・トゥエルブ)」のショー形式の公開審査及び表彰式。 審査委員は、KOSUKE TSUMURA氏(Art director Fashion designer)、神田千穂氏(ラフォーレ原宿「愛と狂気のマーケット」リーダー)、植木沙織氏·小山潮氏(SREU デザインチーム )など。
 
一言コメント
「日本では、学生がエントリーできるファッションコンテストが目に見えて減ってきています。また、ファッション産業も多くの課題を抱えており、ファッション産業を目指す学生の中には将来に不安や戸惑いを感じているひとも少なくありません。The12は、このような状況の下でもサステナブルな未来を見据え、ファッションに取り組む学生たちたが、刺激し合い夢をもって歩んでいける道筋となることを目指します。」The 12 AWARD 実行委員会
 

ふりかえって

渋谷ストリームをまるごと会場に大規模開催となった今回のSSS。(雨天のため、屋外広場で実施予定のものは館内に移動しての開催となりました。)テーマは「立ちどまること」。立ちどまるからこそ、考えられること、愉しいこと、解決できること。そんなスローさの意味を改めてみつめていく機会となりました。
 
ところで、かつて自らを「立ちどまるデザイナー」と呼んだ工業デザイナーがいました。その名は、秋岡芳夫。三菱鉛筆のuniや学研の科学学習冊子の付録で知られています。高度経済成長期における大量生産大量消費に邁進する日本社会で、「消費者から愛用者へ」「コミュニティ生産方式」「生産教育」「一人一芸の村」といった様々な構想を立ち上げ活動をされていました。都内のマンションの一室を様々な職業や立場を超えて人が集まるサロンにしていたり、地方の産業振興や教育にコミットしたり、それらをここで詳細にわたってご紹介することは叶いませんが、半世紀を経てもなお、或いは今だからこそ、秋岡さんの課題意識や軌跡がとても気になってしまいます。(北海道の置戸町を尋ねると、秋岡さんがかつて立ち上げたオケクラフトという工芸が地域に根づいていたり、秋岡さんの手仕事道具がコレクションされていたりと、その息吹を今でも色濃く感じることができます。)
 
全国の生産現場の衰退を食い止めたい。貴重な技術や歴史を守りたい。子どもたちに伝えていきたい。生産上のロスをなくしたい。ほっとくと捨てられてしまうものをレスキューしたい。ずっと使っていけるものをつくりたい。地域の福祉をより良い状況にしたい。どのような人でも安心して暮らせる街にしていきたい。今回もそんな様々な想いが持ち寄られたSSS。一歩一歩の積み重ねとともに、歴史的にもジャンル的にも想いも知見も交差する機会を大切にしていきたいと思います。
 

次回のお知らせ

次回のSSSは、2023年5月20日(土)21日(日)。ご来場いただいたお客さまには先着順で「オリジナルスケッチブック」をふるまいます。ぜひ、渋谷川の思い出を写生してみてくださいね。