REPORT of SHIBUYA SLOW STREAM vol.15

REPORT of SHIBUYA SLOW STREAM vol.15

今回のテーマは「美味しい正直、大集合」

秋の初めの渋谷川沿いに、こだわりの美味しい逸品が集まります。この場所で、これまでにない過ごし方を。そよぐ風を感じながら、是非足をお運びください。正直なところ、そうやってみんなで意識を向けることで、もっともっとこの水辺をより良くしていきたいとも考えています。
 

 

Riverside dining】

SSSお馴染みの、勝亦丸山建築計画によるストリートファニチャー「Placemaking Kit」や、suginomori breweryの日本酒移動販売車「suginomori wagon」によって、渋谷川のほとりが、ちょっと新しい「街呑み」空間に変わりました。
勝亦丸山建築計画
「その場所や前提の条件を探り(RESEACH)、そこに何が必要かを考え(DESIGN)、実践を通して学びを得る(OPERATION)」までを行う建築家チーム。
 
 

 

Drink】

narai - suginomori brewery

長野県の奈良井宿は、江戸時代から日本最長の宿場町として発展してきました。現在も、その街並みは日本の文化資産として登録されており、多くの人々が訪れています。1793年創業の杉の森酒造は、その奈良井宿のシンボルであったものの、2012年に約200年の歴史に幕を閉じましたが、2021年に「suginomori brewery」として再生し、新たな日本酒ブランド「narai(ナライ)」を醸造しています。標高1,000m以上から流れる天然の山水と地産の米でつくられた逸品「narai」と、長野県松本市の燻製工房KUNMARUさんの「森の燻製チーズ」と「スパイシースモークナッツ」が、渋谷川のほとりに集まる貴重な機会となりました。
narai - suginomori brewery
suginomori breweryは、標高約940m、日本で最も標高が高い蔵元です。その名の通り、杉の森に囲まれた長野県の奈良井宿で日本酒を醸しています。「水」は、標高の高い立地ならではの自然の恵みである天然の山水を使用し、「米」は、同じく標高の高い環境で育った⻑野県安曇野産を採用。標高約1,000mの山から引かれる天然水と地産の米で「narai」は醸されます。四季醸造方式によるマイクロブルワリーでの丁寧な醸造で、「伝統」と「創作」を掛け合わせた新たな酒蔵スタイルに挑戦しています。
 
 
 

upcycle beer

フードロス問題を美味しく解決。大量に廃棄されてしまうパンの耳を集めて、モルトとともに「糖化」させることでビールの元になる「麦汁」へと「upcycle」することができます。そんな「upcycle beer」はパン屋さんとともに、全国のクラフトビールブリュワリーの熱意と醸造によって完成しています。パンとビールは、その製作工程もシンクロするために、職人さん同士の話も盛り上がるそう。今回は、そんなビールとともに、同じくパンの耳からできる新たな新製品、クラフトジンも登場しました。
Better life with upcycle
大正12年創業の栄屋製パンによる新たなプロジェクトBoulanferme(ブーランフェルメ)。素材を理解し、そのポテンシャルを最大限活かす製法を工夫し、食べる人のことを考えたパンづくり。 その先にあるライフスタイルへの貢献。それが、Boulanfermeのテーマです。「upcycle beer」では、複数のクラフトビールメーカーと協同で廃棄されるパンの⽿からビールを醸造しています。
Instagram|@upcycle_beer
 
 
 

メロメロ

YUMEGIWAによる、"メロメロ”という名のエナジードリンクは、想像を超える!?フレイバーです。数々のフィールドワークリサーチによって完成させられたその味は飲んでみてのお楽しみですが、そもそも「エナジードリンク」という存在の奥深さや歴史をも感じさせてくれます。
YUMEGIWA
YUMEGIWAは、傷ついた野生動物が身を潜めて、態勢を整えたり、深く何かを考えたりする洞窟のような場所。あなたの意識に対応して、姿やカタチを変えながら(時には消えたり、不思議なポーズを取ったりしながら)育っていくミュータントスペースです。今回は長い年月と壮大な物語を経て極秘開発したインディーズのエナジードリンク"メロメロ”をご用意してお待ちしています。人類の愛をサポートします!
 
 
 

Mountain top herbs

美術家・プランツマンのカブにより、BankART1929「食と現代美術 vol.8」で展開されたプロジェクト「メディシンマンの弟子」は、ジャマイカのハーブの効果効能をリサーチした成果が美術作品になったもの。そのパワフルなジャマイカの植物を扱ったハーブ・スパイスのプロジェクトが「Mountain top herbs」です。日頃の悩みや症状にあわせてハーブやスパイスをオススメしてくれたり、天然ハーブのオリジナル香水をブレンドしてくれます。
Mountain top herbs
深沢アート研究所 緑化研究室 カブ
さまざまな国 ・地域 ・ 団体と関わり現代アートを基軸として緑化活動や作品展示活動をする。2018年より ジャマイカ派遣(JICA)にてNGO JAID、Edna Manley college of art、Institute of Jamaicaで活動。ジャマイカとのフェア トレードプロジェクトMOUNTAIN TOP HERBS 主宰。
Twitter|@mountaintop_ja
 
 

 

Food】

Adwee Lalawee 2

東京・高円寺にて三輪自転車の屋台からはじまった、タイ風焼きそばパッタイ屋台のお店「Adwee Lalawee 2」。タイ料理ならではの風味がありつつもマイルドで、小さなお子さんにも大人気。
Adwee Lalawee 2
東京・高円寺発、パッタイ屋台アドウィララウィ、二代目。町内会のお祭りから野外フェスまで、神出鬼没に活動中!
Instagram|@adweelalawee2
 
 
 

CUCINA IDEYA

「え、ミートパイってこんなに美味しいの!?」という声が上がるミートパイ。豚肉とリンゴとパイ生地の絶妙なバランスが取れた「アップル&ミートパイ」、数種類の本格スパイスを効かせた辛旨の「スパイシーミートパイ」、鹿肉を煮込んでバナナや香草と合わせた「ジビエパイ」と、イタリアの本場を感じます。
CUCINA IDEYA(クチーナイデヤ)
イタリアン歴15年、イタリアで1年半修⾏した店主が作る本格的ミートパイ屋さん。
Instagram|@cucina_ideya
 
 

 

Workshop/Performance/installation】

「河童のウォーキングアクト」by Okk

渋谷川のほとりに河童!!!!!!何をするかわからない。何が起こるかわからない。そんな存在と戯れる時間が生まれました。
Okk
あっとおどろく河童のパフォーマー「Okk」。かえるあてないこのよのすみをさまよいあるいてゆうらゆら。
Instagram|@okk_shookuda
Twitter|@ticktack_oku
 
 
 

「新世代アナログゲーム店」by わなげボーボー

現代画師である"平山達也"や"ABEBE"が描き上げたオリジナルアートわなげ屋。昭和の玩具や、縁日玩具、ちょっとしたレアものまで登場する新世代アナログゲーム店。楽しい気持ちも、景品も、いろいろと持って帰れます。膨大に用意された景品は、デットストックのおもちゃなど、よくみると珍しくて貴重なものがたくさん。
わなげボーボー
RPGworks。埼玉県所沢市を中心に街を盛り上げる為に様々なアイデアを形にしてます。シェアスペース、ショッピングモール、デジタル工作室、飲食店の運営や片付け事業をしています。が、今回は輪投げです!
Instagram|@wanage_bowbow
 
 
 

「ビオトープクラブ」by Spiral Club

Spiral Clubが期間限定のビオトープづくりにチャレンジ。この活動をきっかけに、渋谷川沿いに小さな「自然の循環」を生み出したり、環境問題について考える機会をつくります。今回のSSSが、ビオトープ制作の初日。「Let's Talk About Environment」をモットーに、“環境に関するもやもや”や“生活の中で気になった社会や地球についてのあれこれ”など、集まるひとたちの関心ベースでおしゃべりをする「オープンミーティング」の機会にもなりました。11月のSSSまでを一区切りに、定期的にビオトープのメンテナンスを兼ねた集まりをクラブ活動のように進めて行く予定です。スケジュールや詳細は、SSSやSpiral ClubのInstagramでお知らせをしていきます。ぜひ、ご注目ください。
Spiral Club
「環境について話そう!」をテーマに活動するオープンコミュニティ。どんな社会の変化も「一つの会話」から始まるのでは? そう考え、イベントやフリーペーパーを通して環境について「会話」するきっかけを作っています。
Instagram|@spiral_club
 
 
 

「渋谷ハートシェイク散歩」by YUMEGIWA フィールドワーカーズ

「渋谷ハートシェイク散歩」はいつもとは違った都市体験を味わうウォーキングツアー。童謡「春の小川」のモデルになったという説もあるかつての清流・渋谷川、平安時代末期に築城されていた渋谷城など、渋谷川周辺のエリアには意外と知られていない歴史があります。それらの名残は、感性を研ぎ澄ませて街歩きをすることで伺い知ることができたり、コンクリートという化粧を剥がす想像力によって立ち上がってくるものであったりします。今回は特別に、ウォーキングツアーの一環として「渋谷川に降り立つ体験」も行い、みんなで渋谷川への気持ちを高めていきました。
YUMEGIWA フィールドワーカー(古澤 淳)
街歩きをしながら物語を採集し編纂する集団の一味としての活動を経て、口外禁止の秘伝の技術を伝承可能なものにすべく模索中。古地図、地形などを参考に土地の文脈を意識しつつ、同時に、文脈付けから解き放たれた「感性を揺さぶる散歩」をテーマに歩いてます。
 
 
 

渋谷川をぐるっと一周、ゴミ拾い

開催を重ねるごとにできるだけより良い水辺空間になっていくことを願って、SSSでは、参加者の方々と共に渋谷川周辺のゴミ拾いを毎回行っています。
 
 

 

ふりかえりトーク】

イベントを実施して、おしまい。それは、「ビルを作っておしまい」の街づくりとどこか似てきます。SSSは、そうであってはなりません。企画や準備に心を費やして迎えつつ、その成果をどうやって積み重ねていけるか!?というところが大事なはず。というわけで、心に留めておいたり、次に活かしていくための、手応えや感触って何だったの!?それを一同でふりかえっていく時間も大切にしています。ここでは、その一部をご紹介します。(開催前の対談「想いを交わすうしろ側トーク」はこちらからご覧ください!)
 
 
元来、川は人や物が集まっちゃう場所
-「歴史的にみても、古来より川のほとりで市が立っていたので、渋谷川のほとりでSSSが開催されるのは興味深いこと」って、今回の「渋谷ハートシェイク散歩」を主宰したYUMEGIWA フィールドワーカーズの古澤さんが言っていたんですけど。
 
もともと「川辺は人や物が集まる存在だった」ということなんですよね。とても興味深いです。
 
-フィールドワークの最後に、希望者の方による「渋谷川の降り立つ」という体験がありましたが、注目度が抜群でしたね。多くの人が橋から様子を見守っていました。
 
普段なかなか見られない珍しい風景ということもあって、気になりますよね。たまたま通りかかった方々からたくさん話しかけられました。長年近所に住んでいるというお婆さんから昔の渋谷川の様子を伺ったり、通勤で数十年通っているお爺さんからは「随分綺麗になったねえ、匂いもあまりしなくなったよ」なんて、わたしがお礼をされちゃったり。あと、ご家族連れのお母さんから「地域の子どもが川遊びできるようになったら最高なんだけどね、頑張ってね!」って突然応援されちゃうこともありました。
 
-なかなか機会がないだけで、案外、渋谷川のことが気になっている方も多いのかもしれませんね。
 
そうですね。住民の方も、ワーカーの方も、みんなで共通の話題にしていけるのはやっぱり素敵なことですよね。
 
-自然と話題に上がるということは、渋谷川の魅力でもあるし、可能性でもありますね。
 
ホントそうですね。浸水被害対策も重要ですから安全安心も守りつつ、水辺の居心地が良くなったらやっぱり嬉しいものですよね。大体、都市って「人や物が集まる」ということにそのアイデンティティがあるわけですけども、それを無理に「集める」じゃなくて、自ずと勝手に「集まっちゃう」というところに、都市の本来の意味があるように思います。その意味でも、街にとって川辺はとても大切ですよね。
 
 
より良い水辺を目指して、「ビオトープクラブ」はじまる
-今回もいつも通りゴミ拾い活動も行いましたが、渋谷川のほとりでビオトープづくりの挑戦も始まりましたね。
 
ついに、ですね。ゴミ拾いも継続しつつですが、水辺の自然環境を豊かにしたいという想いから、Spiral Clubのメンバーが「オープンコミュニティ」というスタイルで進めてくれようとしています。まずは小さく始めてみてというところですが、メダカがいたりと生き物も生育しているので、しっかり見守っていきたいですね。ゆくゆくの話ですが、トンボも育つようなものになったら、ヤブ蚊などで悩まされることもある渋谷川の生態系のバランスが良くなるような気もします。
 
-「オープンコミュニティ」ということで、定期的なメンテナンスにいろんな人に参加してもらいたいですね。
 
ホントそうです。一回からでも是非、気軽に参加してもらえると嬉しいですね。SSSのインスタグラムでもスケジュール等をお知らせしていきます。
 
 
たくさん来場してもらいたいし売り上げもあげたい、と同時に
-今回のテーマが「美味しい正直、大集合」ということで、開催前の事前対談「うしろ側トーク」でも主宰者側の「正直さ」を語っていましたよね。「みんなで意識を渋谷川や周辺のエリアに向けることによって、どうにか少しずつでも、より良い水辺へとつなげていいきたい!」と。
 
そうですね。その意味ではまさにそういう状況になってきたなと感じています。
 
-とはいえ、ゴールまでは長いですよね?
 
ああ、それはそうですよね。でもまあ、目指すべきゴールっていっぱいあるんですよ。
 
-例えば?
 
今回、渋谷リバーストリートを会場に開催しましたが、この場所ってもっと色々と面白い使い方があると思うんですよね。「ユニークベニュー」なんて言い方もありますが、この場所のポテンシャルをどんどん引き出していきたいですし、そうしたいと思ってくださる方とコラボレーションをしていきたいです。それに…。
 
-それに?
 
SSSとしては、もっと多くの方に知ってもらったり、多くの来場者の方にお越しいただいたり…売り上げも伸ばしたりしたいというのもあります。
 
-正直ですね。
 
まあ、でもそのあたりは基本のキですよね。それと同時にSSSは、やっぱり新しい挑戦を起こす場だったり、関わる方と共に成長だったり成熟していくような場になっていったらいいですよね。挑戦も成長も成熟もないようなプロジェクトというか都市って、そうである意味がないですよね。
 
 
河童の居心地
-河童、今回もスゴかったですね。
 
いたるところで、笑い声も、悲鳴も、ときに泣き声も響き渡っていましたね。
 
-“ホンモノ”の河童ですからね。迫力というか説得力というか、とにかく佇まいが、異形のものとしてのそれですよね。
 
前触れもなく突然現れますからね。怖いと想いきや一緒に自撮りをしてくれたり、優しいと想いきやいたずらをされたり、つかみどころがないような存在なんですが、ときに妙に心が通じるような瞬間も来るという。2日間傍らで過ごすと、なんだか世界は「そういうもんだ」という気持ちになってくるのも不思議です。
 
-妖怪ですからね。人間の思い通りにはいかないけど、でも、そばにいるという。
 
思い通りにいかないものの代名詞が、つまり自然ですよね。渋谷川に目を向けるという意味では、水の神様!?たる河童が歩き回る風景というのは、妙な納得感がありました。
 
-また来てもらいたいですね。
 
あ、最後にちょっとアレなんですけど。渋谷川に降り立ってなんとなくシャッターを押していたんですが、水面に映るビルの反射が河童の顔にしか見えなくなっちゃって。
 
-んー、言われてみたらそう見えなくもないですけど、いずれにしても笑顔な表情で良かったですね。
 
ホントですね。河童にとっても居心地のよい渋谷川になったら最高です。
 
 
 
 
 

次回のお知らせ

次回のSSSのテーマは、「からだを預けたくなる、音楽」。渋谷川のほとりで、音楽を、場所を味わう。からだを預けたくなる先があるということは、とても幸せなこと。そういう都市であらねば、あって欲しい、と思います。子どもも大人もペットも、是非、足をお運びください。開催日時は、2023年11月17日(金)、18日(土)。詳細は、こちらのホームページやInstagramにてご案内します。皆さまのお越しを心よりお待ちしております!