SHIBUYA SLOW STREAMのうしろ側
いろんな方に足を運んでもらいたい。そして、街の喧騒からほどよく距離があり、少しゆっくりした時間が流れる渋谷川沿いのこのエリアでくつろいでもらいたい。そんな想いのこの取り組みは、敷居を高くしたくはないものの、とはいえ、その想いにある奥行きも感じてもらいたいと同時に考えてしまいます。というわけで、「SHIBUYA SLOW STREAMのうしろ側」と称して、想いを交わすトークをお送りします。
鉄って柔らかい!?鉄の響きが街でこだまする
ー飯田さんの作品って、鉄でできているんですが、いつも、その曲線だったり、手触りだったり、鉄の表現としての幅の広さというか奥行きにびっくりします。
もう13歳のころから溶接とかしているので、自分にとっては紙の工作みたいなものなんですよね。
ー鉄って、固くて重くて、ずっしりというイメージがあったんですが、飯田さんの作品は、そうじゃない。そしてそこから出る音もスゴい。音楽を奏でることもできるし、音楽になる手前の響きというか、生き物の鳴き声や鳥のさえずりのような自然の音像というか、そういう魅力も感じます。
音楽好きですしね、自分でも音楽やっていましたし。鉄の振動って、なんだか優しいんですよね。そういう優しさが広がっていったらいいなっていつも思ってます。
ー動きや音が奏でられる鉄の作品が街なかにあったら、なんか豊かな気持ちになりそうです。今回のSSSでは、屋外ギャラリーのように、飯田さんの作品を展示させていただきたいと考えています。鉄の作品の気配を感じながら、ゆっくり過ごしてもらいたいです。
ギャラリーだとね、それを目的として行くことが多いと思うんですけど街なかでやれると、偶然の幸せな出会いもありますよね。そういうさ、たまたまという幸せを味わっていきたいものです。
ー都市が、都市であることの意味って、まさにそういう出会いがあるということだと思うんですよね。ところで、作品のなかには風をうけて音が鳴るものもありますし、人の手で楽器のように音を出せるものもあると思うんですが、期間中に演奏をしていただけたりするんでしょうか?
音を聞きながらプラスチックゴミを見る装置「曼陀羅(マンダラ)スコープ」の作品もあったりと、いろいろと触ってもらえるものもありますよ。それと演奏は、そうね、、、まあ、気が向いたらかなと思います。。熊井くんが早めに誘ってくれたら、もっといろいろと準備できたんですけどね(笑)。でも、ぜひこれからも色々とやっていきましょう。
ーそのあたりは、まさに風まかせということで良いかと。そして、準備期間の件、すみません!是非今回まずはやってみて、そこでの感触を重ねていけたら最高です。でも楽しみにしています。
鉄彫刻家・飯田誠二
「鉄の魅力を伝えたい」。自由自在に鉄を操り、楽しい鉄彫刻を目指す。独自の工法で素材の性質を生かした作品づくりを始め、枠を超えた様々な分野で鉄の新たな世界観を表現している。
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みんなための場所を、しっかり楽しみ抜く
ーまちのなかにスペースはあるものの、みんなのための場所って、とても大切な存在だと思うんですけども、「みんなのため」だからこそ、かえって遠慮も働いたりして、使いこなすことが難しいなとも感じています。
ほんと、そうですよね。それって誰にとってももったいないですよね。
ーSSSでも、同じようなテーマを持っています。「Placemaking Kit」って、まさにそういうもったいなさを解消してくれそうな気がします。そもそも、お二人は建築家ですが、運営というオペレーションまで活動の範囲に入っているのって珍しいですよね?
そうですね。つくるだけでなくて、運営というところにも携わりながら、その場所の価値を一緒に成長させていきたいんですよね。
ーまさにそういうことをSSSで取り組んでいきたいです。今回のSSSではどのような取り組みを展開される予定ですか?
「Placemaking Kit」って、いろんな使い方があるんですね。そして、その手前にあるのが、いろんなつくり方があるということです。例えば、ちょっと角度を深くして寝そべるように座れるようにしたり。屋根のようにしてちょっとこもれる感覚にしてみたり。使う人が工夫をしながら、ときに複数人で力をあわせて、自分たちの居心地をつくってもらえるようなワークショップをやろうかなと思っています。
ーレゴブロックみたいな感覚で、椅子などができちゃうんですか?
そうです。ブロックのように組み合わせてつくることができるので、そんなに難しくありません。どちらかというと、レゴもそうだと思うんですが、何をつくるのか?というところを考えるのが楽しくもあり、腕のみせどころです。
ー街なかで工夫して場所と関わるという経験って、結構珍しい気がします。それって、自分のお気に入りの場所で、食事をしたり、読書したり、友達と一緒にだべったり、自由に過ごして良いということですよね?
もちろんもちろん。いっそのこと、こちらの思いも寄らない使い方が生まれても嬉しいなと感じています。
ーいいですね。いいですね。
勝亦丸山建築計画
「その場所や前提の条件を探り(RESEACH)、そこに何が必要かを考え(DESIGN)、実践を通して学びを得る(OPERATION)」までを行う建築家チーム。
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無意識に見過ごしている「風景のハザイ」から、新たな視点で街を見るきっかけを
ー Palab(パラボ)さんは、普段は工場等から出る産業廃棄物や、製造過程で生まれる端材を使って作品制作をされているんですよね?
はい、私たちはそれらを総称して「ハザイ」と言っていて、制作の資源として扱っています。大事なポイントは、それらが意図せず偶発的に生まれていることです。そこに面白味を感じています。
ー今回は、いつもそこにあるけどみんなが見落としてしまっている渋谷の風景を「ハザイ」として着眼して、それをクリエーションの素材にするわけですよね。工場から生まれるような物とは違うと思うんですが、なぜ風景をモチーフにしたんですか?
僕らは、物体でなくても人の無意識下にあるものや現象もハザイとしてテーマにすることがあります。今回は渋谷という街の特性を考えた時、様々な建物やグラフィック、標識などが決められたルールがなくても、集合すると「渋谷らしさ」になっていると思いました。ある種のカオス感と言いますか。それらを一つ一つ分解し、再構成しても「らしさ」は残ることに気づき、コラージュという手法を通して実験にできればと考えました。
ーなんか、言葉にすると簡単なんですが、要は少し見方を変えてみるということですかね。そうやって考えると、そういった視点を持つ前と後では、世界が変わってみえてきそうです。少し目線を変えてみると身の回りのモノにも可能性が一挙に感じられていくというか。
そのきっかけになると面白いと思っています。
ー人って、砂場もそうですが、圧倒的な量を目の前にすると、何かつくりたくなったり創造性は発揮する生き物だと考えているんですが、おそらく日本全国に溢れている端材をそのように見ていくと、なんかスゴいことが起きるような気がします。改めて今回のSSSではどのような取り組みを展開される予定ですか?
普段はみんなが気に留めていない渋谷の風景をPalabの視点で写真におさめ、それをシール紙に印刷し、パーツごとに分解したものを用意します。ワークショップの参加者は、それらを貼り合わせるコラージュ作品制作を体験できます。制作する人それぞれで描き出される絵が異なるはずなので、どんな作品に出会えるか楽しみです。手を動かしていくうちにこれまで気づかなかった街の顔が見えて来るかもしれません。
ー新しい都市体験が広がりそうです。
そうですね。なかなか言葉にしづらくても、そういったハッとする感じを味わえていけたら嬉しいです。制作した作品はお持ち帰りいただけます。
ーいろんな人の作品をアーカイブしていきたくなります。
クリエイティブユニット・Palab(パラボ)
意図せず偶発的に生まれた端材を集め、 それらを「同時並行世界 (parallel) の素材」と仮定し、 そこから見えてきた世界を描き出す研究所のようなクリエイティブユニット。
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